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イノベーション人材とは?育成方法と今注目の海外実践型研修を徹底解説


イノベーション人材が求められる時代背景

現代社会は、変化のスピードが速いというより、「変化の質」が根本的に変わりました。
技術革新やグローバル化が進んだ結果、問題は細分化され、正解は現場ごとに異なり、過去の成功モデルがほとんど再利用できなくなっています。

これまで日本企業が強みとしてきたのは、正解が定義された環境での最適化でした。
決められた目標に向かって、効率的に改善を積み重ねる。その能力は、長らく競争優位の源泉でした。

しかし現在、多くの企業が直面しているのは、「何を目標にすべきかが分からない」という状況です。
市場も顧客も技術も、常に動いている。前提そのものが揺らぐ中では、指示待ち型や過去の延長線で考える人材は、むしろリスクになり始めています。

このような環境で求められているのが、「イノベーション人材」です。

ただ新しいアイデアを出せる人ではありません。不確実な現場に放り込まれても、自ら問いを立て、状況を観察し、仮説を修正しながら前に進める人材です。

重要なのは、イノベーションが特別な才能の問題ではなく、「環境と経験」によって引き出される能力だという点です。
多くの企業が人材育成に課題を感じているのは、個人の能力不足ではなく、問いを生む環境に人を置けていないことに原因があります。

イノベーション人材とは?その定義と5つの特徴

「イノベーション人材」とは、技術革新の担い手というより、不確実な現場で自ら問いを立て、仮説を動かし、周囲を巻き込みながら価値を形にする人材です。

言い換えるなら、「正解を探す人」ではなく、「正解がない状況で前に進める人」です。

多くの場合、鍵になるのは「観察→解釈→意思決定→行動→検証」を回せるかどうかであり、その反復によって初めて創造性や共創が実務に落ちてきます。

イノベーション人材に共通する5つの特徴は、次の通りです。

  1. 問いを立てる力(Problem Finding)
    解くべき問題を与えられるのではなく、自分で定義できること。現場の違和感を起点に、「なぜ今それが問題なのか」「何がボトルネックなのか」を言語化し、仮説に変えられる力です。
  2. 前提を壊して学び直す力(Unlearning / Transformational Learning)
    過去の成功体験や常識が通用しない状況で、思考の型を捨てて更新できること。知識の追加ではなく、見方そのものが変わり、行動の選び方が変わる状態を指します。
  3. 一次情報を取りに行く力(Field-based Insight)
    資料や人づての情報に依存せず、自分の目で見て、聞いて、確かめること。情報が不十分でも、現場で観察しながら判断材料を集め、解像度を上げていく姿勢です。
  4. 動きながら方向修正する力(Adaptive Execution)
    完璧な計画を作るより先に、小さく試して学び、素早く修正して前進すること。失敗を避けるのではなく、検証として扱い、次の意思決定に変換できる力です。
  5. 巻き込み、共創する力(Collaboration)
    多様な利害や価値観の違いがある中で、対立を増やさずに前に進めること。正しさで押すのではなく、相手の文脈を理解し、合意形成と実行を同時に進められる力です。

この5つは、性格や才能の話ではありません。
「アウェイな環境」「正解のない課題」「短期間での反復」など、経験設計によって立ち上がる能力です。だからこそ、座学や知識注入だけでは伸びにくく、現場で“回させる”育成が必要になります。

なぜイノベーション人材は日本企業では育ちにくいのか?育成の壁と課題

日本企業における人材育成は、長らく「正解がある世界」に最適化されてきました。効率や再現性が重視され、決められたルールの中で成果を出すことが評価されてきたのです。しかし、イノベーションには「正解のない世界」に挑む力が求められます。

文部科学省も「Society 5.0」に向けた人材像として「未知に対応できる力」「越境する学びの必要性」を強調しています。つまり、現場の課題に真正面から取り組み、自らの意思で動く人材の育成が急務なのです。

ただ問題は、日本企業ではイノベーション人材が育ちにくいことです。
むしろ多くの場合、育てようとするほど育たない構造にあります。

第一の壁は、評価制度です。
多くの組織では「再現性」「ミスの少なさ」「前例踏襲」が高く評価されます。その結果、正解が見えないテーマに踏み出すほど、評価リスクが高まる構造が生まれます。探索より最適化が合理的な選択になる以上、挑戦しない人材が“優秀”として残ります。

第二の壁は、人材配置です。
新しい芽が出かけた人材ほど、既存事業の重要ポストに固定されやすいのです。

短期成果を求めるがゆえに、未知の領域に送り出す余白がなくなり、結果として「経験が足りないから任せられない」という循環が起きます。

第三の壁は、現場不足です。
社内研修やケーススタディは増えましたが、実際に意思決定の重みを背負う“現場”はほとんど与えられていません。失敗しても致命傷にならない環境でしか学べないため、判断力や主体性が立ち上がらないのです。

この3つが重なると、どうなるか。
アイデアは出るが、動かない。言語化はできるが、腹を括らない。結果として「優秀だが変革は起こせない人材」が量産されます。

文部科学省や経済産業省が「越境」や「探究」を強調する背景には、この構造的な行き詰まりがあります。
つまり、問題は個人のマインドではなく、問いを生む環境に人を置けていないことです。

ここで重要なのは、座学を増やすことではありません。
必要なのは、正解が通用しない環境に一度“突き落とす”こと。そして、短期間で試行錯誤を回させることです。

イノベーション人材育成に不可欠な3つの要素(異文化経験/挑戦機会/心理的安全性)

イノベーション人材は、知識を積み上げても生まれません。
必要なのは、認知が壊れ、行動が変わり、最後に意味づけが起きるという順番です。多くの育成施策はこの順序を逆にしています。

1. 異文化経験:自分の「常識」を揺さぶる体験

異文化との出会いは、イノベーション人材育成にとって“アウェイ”を体験する場です。言語、価値観、生活スタイル、意思決定のプロセス――すべてが異なる環境に身を置くことで、自らの前提や思い込みに気づくことができます。

特に海外研修やグローバルプロジェクトのような非連続的な環境においては、現地の課題や社会構造に触れる中で「自分だったらどうするか?」と考えざるを得ない瞬間が訪れます。その葛藤が“内発的動機づけ”を生み、自律的な学びと成長につながります。

タイガーモブが意図的に新興国やスタートアップ、社会課題の現場を選ぶ理由はここにあります。
自分の型が壊れなければ、問いは生まれない。これがアンラーニングの起点です。

2. 挑戦機会:自ら考え、行動するプロセス

イノベーション人材の根幹には「自ら考えて動く力」があります。これは、正解がない課題に対し、仮説を立てて試し、失敗から学び、再度チャレンジするという経験を通して育まれるものです。

このような挑戦の場は、通常の業務ではなかなか得られません。だからこそ、育成プログラムの中であえて“自律的な挑戦”を設計することが必要です。例えば、実社会の課題をテーマにしたプロジェクト型学習(PBL)や、現地企業との協働によるフィールドワークなどが効果的です。

重要なのは、「課題を与える」のではなく「課題を見つけさせる」設計です。自らの問題意識に基づいたアクションは、学びの質と定着率を格段に高めます。

3. 心理的安全性:挑戦と学びを支える環境

挑戦には必ずリスクが伴います。だからこそ、個人が安心して失敗できる“心理的安全性”の高い環境が不可欠です。

Googleが実施したチームパフォーマンスに関する調査でも、成果の高いチームに共通していた要素の一つが「心理的安全性」でした。これは、メンバーが「無知と思われることを恐れずに質問できる」「批判されることなく意見を述べられる」状態を指します。

企業における人材育成でも同様で、上司や同僚が失敗を受容し、挑戦を後押しする文化が醸成されているかどうかが、学びの継続性と深さを左右します。

具体的には、フィードバック文化の強化、1on1の定期化、リフレクション(内省)の習慣づけなどが有効です。参加者が安心して自らをさらけ出し、試行錯誤を繰り返せる環境を作ることで、イノベーション人材は組織の中で根を張り、花を咲かせていくのです。


このように、異文化経験、挑戦機会、心理的安全性は、イノベーション人材育成の「三本柱」です。企業がこれらを意識して設計することで、短期的な変化ではなく、持続可能な変革人材の輩出が可能となります。

イノベーション人材のタイプと必要スキル

イノベーション人材には、ひとつの決まった型はありません。それぞれが異なる専門性と役割を持ち、チームとして力を合わせることで、組織に新しい価値を生み出します。ここでは、共通して求められる力に加えて、3つのタイプごとの役割や必要なスキルを紹介します。

分野別① プロデュースを担当する人材(ビジネス系)

このタイプは、課題を見つけ、解決に向けた道筋を考え、プロジェクト全体をまとめる役割を担います。会社の内外の関係者と連携しながら、アイデアを実際のビジネスに育てていきます。

主な役割:

  • 社内の技術・営業・デザインなど、さまざまな部門と連携してプロジェクトの方向性を決める
  • 市場や顧客のニーズをもとに、ビジネスの形を考える
  • 顧客や外部パートナーと協力し、現実的に進められる計画をつくる

必要なスキル:

  • 市場の動きや業界の傾向を読み解く力
  • 社内外の関係者を巻き込み、うまく調整する力
  • チームで話し合いながら方向性を共有する力
  • アイデアを収益につなげる仕組みを考える力

典型的な職種:
事業開発、経営企画、プロダクトマネージャーなど。最近では「ビジネスデザイナー」や「新規事業担当」といった職種も増えています。

分野別② デザインを担当する人材(デザイン系)

このタイプは、使う人の視点でサービスや仕組みを考え、見た目や体験として形にする役割を担います。「どうすればもっと使いやすくなるか」「気持ちよく利用できるか」などを丁寧に設計します。

主な役割:

  • お客様の声や行動を観察して、どこに本当のニーズがあるかを見つけ出す
  • サービス全体の流れを設計し、どの場面でも一貫した体験を届ける
  • アイデアを目に見える形で試作し、早い段階でフィードバックを得る

必要なスキル:

  • お客様の立場で考え、問題点をつかむ力
  • ニーズの本質を見抜き、それを形にする力
  • サービスの仕組みや流れをわかりやすく整理する力
  • 試行錯誤をしながら、少しずつ改善していく柔軟性

典型的な職種:
UXデザイナー、サービスデザイナー、プロダクトデザイナーなど。最近は、カスタマーサクセスなどお客様と直接やりとりする部門とも密に連携しています。

分野別③ テクノロジーを担当する人材(エンジニア系)

このタイプは、アイデアを技術によって現実にする役割を担います。動く仕組みをつくり、新しい価値を実際に届けることが求められます。

主な役割:

  • 試作品や実験を通じて、アイデアを試しながら改良する
  • 安定した仕組みやシステムを設計し、サービスの土台をつくる
  • AIやデータなど最新の技術を、事業に応用する

必要なスキル:

  • チームと一緒に柔軟に進められる開発のやり方を理解していること
  • 安全で拡張性のある仕組みを考える力
  • 新しい技術を試して、その可能性を見きわめる力
  • 技術者以外にもわかりやすく説明し、協力を引き出す力

典型的な職種:
ソフトウェアエンジニア、データ分析担当、システム設計者など。ベンチャー企業では、開発も設計も一人で担えるような「なんでも屋」タイプも重宝されています。

一般的な企業研修との違い:イノベーション人材は「育成」か「覚醒」か

多くの企業研修は、「人を育てる」ことを目的に設計されています。
知識を与え、フレームワークを教え、成功事例を学ばせる。前提にあるのは、「人は足し算で成長する」という考え方です。

一方で、イノベーション人材に必要なのは足し算ではありません。
引き算、そして再構築です。

一般的な研修では、参加者は安全な環境に置かれます。
評価に直結しない、失敗しても責任を問われない、答えの用意された課題。学びとしては成立しますが、判断力や主体性はほとんど鍛えられません。

なぜなら、人は本気で迷わない限り、前提を疑わないからです。

タイガーモブの実践型研修は、発想が逆です。
最初に「分からなさ」と「決めなければ進まない状況」を用意します。

情報は足りない。正解もない。誰も指示してくれない。その中で、自分で見て、考え、決めて、動くしかありません。

ここで初めて、参加者は自分の思考の癖や逃げ道に直面します。
優秀だった人ほど戸惑い、真面目な人ほど立ち止まる。その揺らぎこそが、変容の入口です。

一般的な研修が「理解」をゴールにするなら、タイガーモブの研修は「行動が変わるまで」をゴールにします。

だから、成果の現れ方も異なります。
知識が増えた、視野が広がった、で終わらない。帰国後に新規事業を提案する、部門を越えて動き出す、意思決定のスピードが変わる。組織の中で“動き”として違いが現れます。

これは、方法論の違いではありません。
人は、教えられては変わらないが、置かれた環境によって変わるという前提に立っているかどうかの違いです。

この思想があるからこそ、次に語る事例が単なる成功談ではなく、「なぜ起きたか」を説明できるものになります。

【企業導入事例①】ANAフーズ様:「正しい分析」から「現場で決める」人材への転換

Before|課題(Issue)
ANAフーズでは、海外事業や新規事業の検討において、情報整理や分析は十分に行われていた一方で、

・現場感覚を身につけてほしい
・意思決定が現場でスムーズに行える組織にしたい

という課題感が共有されていました。担当者自身も「判断材料が揃わないと決められない」状態に陥りやすく、主体的に踏み出す経験が不足していました。

越境|経験(Solution)
タイガーモブの実践型プログラムでは、ベトナムの現地企業・事業環境を舞台に、

・事前情報が限られた状態での市場観察
・現地関係者への直接ヒアリング
・短期間での仮説立案と方向修正

を求められる設計がなされました。

計画通りに進まないことが前提の環境で、OODAループを高速で回す経験を積むことで、「分析してから決める」から「決めながら情報を取りに行く」判断様式へと切り替わっていきます。

After|変容(Outcome)
帰国後は、現場訪問や一次情報を起点にした企画設計が増加。
「待っていれば情報が集まる」という前提が崩れ、自ら動いて判断材料を取りに行く姿勢が定着しました。結果として、社内での議論の質と意思決定スピードが向上し、担当者の役割も“調整役”から“推進役”へと変化しています。

【企業導入事例②】NEC様:「優秀だが慎重」な人材が、越境で主体性を取り戻す

Before|課題(Issue)
NEC様では、新規事業やDX文脈において多様な人材育成施策を行ってきましたが、

・知識やフレームワークは理解している
・しかし実行段階では慎重になり、踏み出しきれない

というギャップが課題として認識されていました。
特に若手・中堅層において、「失敗しないこと」が無意識に優先され、挑戦が抑制される傾向がありました。

越境|経験(Solution)
タイガーモブの越境プログラムでは、国内の延長線ではなく、

・文化・商習慣・意思決定が大きく異なる環境
・自社ブランドや過去実績が通用しない現場

に参加者を武者修行としてアフリカのスタートアップ企業に派遣。

役割も細かく定義せず、「何が課題かを見つけるところから始める」設計にすることで、受動的な姿勢が通用しない状況を意図的に作りました。

After|変容(Outcome)
参加者からは、「初めて“自分が決めないと何も進まない”感覚を持った」という声が聞かれました。
帰国後は、正解を探すよりも仮説を出して動く姿勢が強まり、部門横断プロジェクトや新規テーマへの関与が増加。行動量そのものが変わったことが、周囲からも認識されるようになりました。

【企業導入事例③】カルビー様:「自社視点」から「社会・顧客視点」への切り替え

Before|課題(Issue)
カルビーでは、サステナビリティや新規価値創出に関心は高いものの、

・新規事業がなかなか生まれない
・社会課題と自社事業の接続が抽象的になりやすい

という課題がありました。

越境|経験(Solution)
インドネシアの社会課題・生活課題を起点としたスタートアップ企業の現場で、「自社だったら何ができるか」ではなく、「この現場に本当に必要な価値は何か」をゼロベースで考えるプロジェクトに参画。

顧客でも市場でもない、“生活者の現実”を起点に思考する経験が、認知の前提を大きく揺さぶります。

After|変容(Outcome)
帰国後は、社会課題を切り口にした事業アイデアの具体度が上がり、自社技術・アセットをどう翻訳すれば価値になるか、という議論が実践的になりました。
「視点が変わった」のではなく、「問いの立て方が変わった」ことが最大の成果です。

なぜこの変化が起きたのか

これらの事例に共通するのは、能力の向上ではありません。
判断の起点が「正解探し」から「現場解釈」へ移ったことです。

・前提が壊れる環境に置かれた
・短期間で意思決定と検証を回した
・経験を内省によって学習に変換した

この3点が揃ったとき、人は初めて「自分で決めて進む人材」へと変わります。

なぜ今、DXや社会課題の文脈で「越境型人材育成」が問われるのか

DX(Digital Transformation)が進まない理由は、技術不足ではありません。
多くの企業で起きているのは、「何を変えるべきか」を定義できないまま、ツール導入や業務効率化に終始してしまうことです。

DXもGX(Green Transformation)も、突き詰めれば問いの質の問題です。

・どの顧客価値を再定義するのか
・どの社会課題に自社として向き合うのか
・既存事業のどこを壊し、どこを活かすのか

これらは、正解が事前に用意されているテーマではありません。

だからこそ、従来型の「知識習得型人材」では限界が生じます。
必要なのは、不確実な状況そのものを扱える人材です。現場で一次情報を取り、仮説を立て、動かしながら修正できる人材。つまり、探索型のイノベーション人材です。

サステナビリティや社会課題の文脈では、この傾向がさらに顕著になります。
気候変動、貧困、都市問題、食料問題。どれも単一の専門や部門で解ける課題ではなく、現地の生活文脈や利害関係を理解しなければ、机上の空論に終わります。

ここで越境経験が持つ意味は明確です。
社会課題の現場は、最初から正解のないDX環境だからです。正解のないDX環境とは、「何を変えるべきか」「何が価値か」を、事前に決められない状態で意思決定を迫られる環境のことです。

制約が多く、情報が足りず、関係者も多様。その中で意思決定を迫られる経験は、DXや新規事業に必要な判断力をそのまま鍛えます。

重要なのは、「社会貢献をさせること」ではありません。
社会課題に向き合うプロセスそのものが、最も負荷の高いリーダーシップ訓練になっている点です。

この視点に立つと、タイガーモブの越境型プログラムは、語学研修や異文化理解研修ではなく、経営人材を育てるための探索装置だと定義できます。

イノベーション人材を社内でどう活かすか?研修後のフォローアップ設計

イノベーション人材は「育てて終わり」ではなく、いかに社内でその力を発揮させ、成果に結びつけられるかが極めて重要です。特に、海外研修などを経て得た気づきや変化は、適切なフォローアップがなければ時間とともに薄れてしまう恐れがあります。以下のような仕組みや制度を整えることで、イノベーション人材の持続的な活躍を支援できます。

1. 社内メンター制度の導入

研修を終えた社員には、組織内での伴走者となるメンターを割り当てることが有効です。メンターは、本人の目指すビジョンや問題意識を共有し、適切なアドバイスや人脈の紹介を行うことで、行動の定着と継続を促します。特に管理職や部門横断で活躍する人材がメンターとなることで、社内での応援体制を強化できます。

2. プロジェクト立案・提案の機会提供

海外研修を経た社員は、新しい視点や課題意識を持っています。それを埋もれさせず、具体的なプロジェクトとして実行に移せる環境が必要です。例えば、定期的な社内ピッチイベントや「越境提案制度」などを設け、アイデアを可視化・実行する機会を制度化することで、組織に新しい風を吹き込むことができます。

3. 管理職との定期的なキャリア面談

研修後のモチベーションや気づきを維持するには、本人の意志を理解し、それに沿ったキャリア支援が不可欠です。管理職との面談を定期的に行うことで、日常業務とイノベーション活動のバランスを取り、挑戦を継続できる体制を整えましょう。組織全体で“育てた人材を活かす”意識を共有することが鍵です。

4. 社外イベント・ピッチコンテストへの参加支援

社外の刺激を継続的に受けることも、イノベーション人材の成長にとって重要です。ベンチャーイベントやSDGsコンテスト、スタートアップのメンタープログラムなどに参加させることで、自社に閉じない学びの機会を提供できます。また、外部発信を通じて自社のブランド力強化にもつながります。

これらのフォローアップは、「イノベーション人材」という“種”を、企業の未来を変える“花”へと育てるための土壌づくりです。人の変化は、環境次第で大きく加速も停滞もします。だからこそ、研修とその後のプロセスを一貫して設計することが、真の人材開発といえるのです。

イノベーション人材の力を最大化できる企業の特徴

いくら優秀なイノベーション人材が社内にいても、その能力を活かす環境が整っていなければ成果には結びつきません。ここでは、イノベーション人材がその力を最大限に発揮できる企業の特徴を紹介します。

市場環境の変化や時代の流れに敏感である

イノベーションは、現状維持ではなく変化への適応と先取りから生まれます。変化を脅威と捉えるのではなく、機会として活用する企業体質が必要です。

  • 市場トレンドや技術革新にアンテナを張り、迅速に意思決定できる体制。
  • 経営層が変革に前向きで、新しい挑戦への投資を惜しまない風土。

たとえば、競争環境の急変に対して柔軟に事業ポートフォリオを再構成できる企業は、イノベーション人材の提案を迅速に実行に移すことが可能です。

コミュニケーションがとりやすい環境がある

イノベーションの源泉は“知の交差点”にあります。異なる部署・専門性を持つ人材同士が、フラットに議論・協働できる組織文化が、創造性を支えます。

  • 上下関係や部門の壁を越えて意見を言いやすい心理的安全性。
  • オープンな情報共有、ナレッジの流通促進(例:社内SNS、社内ピッチ会)。

特にプロデューサー型の人材は、他部門との連携なくして企画を前に進められません。コミュニケーション設計が不十分な組織では、イノベーション人材が孤立しやすくなります。

リスクに対して適切な経営判断ができる

イノベーションは必然的に不確実性を伴います。完璧な計画を求めすぎると、意思決定が遅れ機会を逃すことになります。重要なのは、「計画にない価値」が生まれる可能性に投資できる経営判断力です。

  • スモールスタートでの実験的アプローチを許容する体制。
  • 成功だけでなく「検証プロセスそのもの」を評価するマネジメント視点。
  • 失敗を責めるのではなく、学びを共有する仕組み(例:失敗事例共有会)。

こうした環境が整っている企業では、イノベーション人材が安心して挑戦でき、自らの創造性を最大限に発揮することができます。

イノベーション創出のための組織づくり

イノベーションは特定の部署や一部の人材だけが担うものではありません。全社的な視点で組織設計を行い、多様な人材が横断的に連携できる体制を築くことが求められます。ここでは、持続的にイノベーションが生まれる組織の構築に必要な3つの視点を紹介します。

あらゆる職種でイノベーションを起こす可能性を想定する

イノベーションはR&D部門や新規事業部門だけの専売特許ではありません。営業・人事・製造・財務といったあらゆる機能においても、顧客価値や業務改善の文脈で新たな付加価値を生む余地があります。

  • 各部門における業務課題や顧客接点から生まれる“現場発”のアイデアを吸い上げる仕組み
  • 管理職やリーダーが現場からの提案を歓迎し、具体的な行動に落とし込む姿勢

「部門横断で考える」ことが当たり前になれば、組織内の知識や視点が組み合わさり、イノベーションの種が広がります。

多様な人材の受け入れと活用

年齢、性別、国籍、職歴だけでなく、思考様式や価値観の異なる人材が組織に加わることで、固定化された思考の枠を打ち破るきっかけが生まれます。

  • 異業種出身者や副業人材の登用、ダイバーシティ推進による発想の多様化
  • 意見の違いを“衝突”ではなく“対話”として受け入れる文化

多様な人材が互いに補完しあうことで、プロジェクトの設計・実装・検証といった各フェーズで新たな可能性が広がります。

内部人材と外部人材の効果的な組み合わせ

社内の人材にはない知見やスピード感を持つ外部人材(スタートアップ、大学研究者、クリエイター等)との協業は、イノベーションの加速に直結します。

  • 社外パートナーとの共創プロジェクトの推進
  • 越境型研修・副業型プロジェクトを通じた「外の目」の導入
  • オープンイノベーションやCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)との連携

タイガーモブが提供する「越境プログラム」は、こうした外部との融合を促進し、社内に新たな視点を持ち込む有効な手段となります。

まとめ:人が変われば、組織が変わる。イノベーションは人から始まる

イノベーション人材の育成は、単なる人材開発ではありません。それは企業文化を変え、事業そのものを進化させる“起点”です。

環境変化が激しさを増す今、固定化された思考から脱却し、新たな価値を創造できる人材こそが企業の未来を切り拓きます。その第一歩として、実践的な海外研修を活用することは、きわめて効果的なアプローチとなるでしょう。

今こそ、人づくりを通じたイノベーション創出に、本気で取り組むときです。