企業派遣型 長期海外インターンシップ研修
研修内容
- 参加者
- 田島祥太さん
- 渡航先
- ベトナム(ホーチミン市)
- インターンシップ期間
- 3ヶ月間
- インターンシップ内容
- ベトナムで日本の商品を堪能できるカフェショップの立ち上げインターンシップ
- メニュー開発(新規メニューの開発、既存メニューの改善)
- オペレーションの仕組み化(キッチン関連のマニュアル作成)
- ベトナム人スタッフの教育とサポート
- 仕入れ先との調整(在庫管理、仕入れ先の選定)
- カフェ全体の戦略考案・実施(イベントのプロモーション等)
食の分野で、異文化の国・企業での挑戦機会をつくりたい

海外インターンシップ実施の背景を教えてください。
(大野さん)以前より、私共の研究所は海外研修を実施しており、今までは中国とアメリカで実施をしてきました。
実施の目的は、
- 海外の人たちに触れる機会をもつこと
- 言葉や環境も含め、己が海外でやっていけるか、身をもって体験して腹落ちすること
- 開発者としての視野を広げること
これまでアメリカでやってきた海外研修を東南アジアに変更しようと思ったきっかけは、語学研修だけではなく、実際の仕事の現場に入らないと、帰国後、実務である開発業務に生かしにくいと思ったからです。
別の企業にインターンシップへ行くとなった時にアメリカですと、弊社グループ会社も進出しており、企業秘密等の事情でなかなか食品業界に近寄れないんですね。このため、食品関連の業界に拘るのであれば、コミュニケーションの中で英語を使う機会も多いだろうと、東南アジアに思い切って今回からシフトしました。前年は、ニューヨークでの研修だったので、大幅に内容を変えました(笑)おかげさまで、当初の「食品関連のインターンシップを実施したい」という思いを実現することが出来ました。
自社のベトナム拠点ではなく、別の企業をインターンシップ先として選んだのはなぜですか?
(大野さん)自社拠点での勉強も選択肢としてはありなのですが、同じグループ内に行くよりは外に出たほうが知見も広がるのではと考え、敢えて他社でインターンシップをさせていただくという形をとりました。どうしても若手が自社の海外拠点に行くと経験値の違いもあってやれることは限られてきます。それであればいっそ、異なる国の異なる企業という完全な異文化環境に身をおいた方が本人にとっていい経験になるだろうと考えました。
そしてせっかくの機会ですので裁量権を持たせてくれる、チャレンジも失敗も出来る場を提供することを意識しました。
現地の人と同じ目線で商品を創り上げたい

田島さんにお聞きします。
田島さんはなぜこの海外インターンシップ研修に手をあげたのですか?
(田島さん) 海外工場の製造ライン立ち上げ業務を担当しており、直近では関連会社のインドネシアにある工場の業務を担当していました。今回の海外研修に参加しようと思った理由は2つあります。1つは海外での仕事や生活が純粋に楽しかったということ。2つ目は海外工場で現地のスタッフの方に仕事を教えるという機会が多々あったのですが、日本側の考えを一方的に伝えるというのは出来ても、現地の人たちが実際にどう考えているのか、彼らの意見を汲みあげるということがなかなかうまく出来ていませんでした。出張期間が限られているということもありますし、日本人駐在員とのコミュニケーションもしっかりとる必要があるので、これらを優先してしまい、現地の皆さんとは、深い繋がりは構築できていませんでした。それが、自分の中で課題だと感じていました。
そんな時に企画して頂いたのが、この海外研修で「この研修に参加すれば、自分のやりたいことと今まで課題と感じていたことが同時に達成・克服できる可能性があり、チャレンジできる!」と思い、申し込みを決意しました。元々、仕事で携わっている地域である東南アジア!食品業界!そして現地の方と深く関わることが出来る!と全てがマッチしており、自分自身の成長に向けてのメリットを強く感じました。
海外インターンシップに期待していたことは何ですか?
現地の人たちと接する時間を大切にしたいと思っていました。今までは時間的制約や自分のスキル不足で、どうしてもこちらからの一方的なコミュニケーションしか取れてこなかったと感じていたので、現地の人と同じ立場・目線になって商品やサービスを創り上げたいという想いがありました。
実際、インターンシップ先では、生活の全てにおいて現地に入り込むことができたので、目的を達成することができたと思います。私たちのような食品を開発する立場で、現地の料理を現地の方と一緒に食べることができた経験は大きな財産です。
メニュー開発や店舗経営のインターンシップ

徹底的に向き合うことで、お互いの「基準」を変えていく
ベトナムインターンシップの内容を簡単に教えてください。
(田島さん)日本のベンチャー企業が経営する、日本文化を発信するカフェで、メニューの開発や店舗運営のマネージメント、イベントのプロモーションを主にしていました。インターン先企業にはベトナム人と日本人どちらも働いていましたが、ベトナム人マネージャーが店舗全体の運営を仕切り、私はキッチンを仕切る役割を担っていました。
仕事の中で、一番大切にしていたことは衛生面です。マニュアルなどでは、文化や価値観の違いもあり、意図を伝えきれないことも多いです。このため、まずは掃除とは何ぞやというのを自らの行動で伝えました。これにより、現地の方が率先して動き、ベトナムの飲食店では考えられないほど衛生的な環境を維持できるまでになりました。彼らの基準が変化したことを嬉しく思いました。
自分が作った物が、目の前で売れるという喜び
インターンシップでやりがいを感じたことを教えてください。
(田島さん)自分が作った製品が目の前で売れるという感動です。日本にいた時の職場では、国内外の製品(カレールウ)の開発に関わっていましたが、事業規模も大きいので、ここ最近では現場で「製品が売れる」という感覚が薄くなってきていました。そのような心境で、ベトナムに行って、自分で商品を企画して、材料をすべて集めて、仲間と一緒に作って、販売するところまで経験すると、利益が例え1万円であっても嬉しいなと純粋に思いました。その感動は忘れられないですね。
インターンシップ後、価値観や考え方の変化があれば教えてください。
(田島さん)製品に対する想いが明らかに変わりました。以前は自分の仕事が製品を作る一部分でしかなかったですが、ベトナムでは最初から最後まで自身で担当していたので、製品一つ一つに対する想いの深さ・重みががらりと変わりました。
研修を終えて

① 人生の契機になるような、長期的な効果が得られた
(大野さん)正直、この研修では即物的な指標の達成は求めていません。まだ、彼の変化についてレビューできるほど時間も経っていませんし…。でも、そこがこの研修の良いところだと思っています。この研修が終わったから何ができるようになりました!というものではなく、その3年後、5年後、10年後に、この研修に行ったことによって蓄積した何かがその人の仕事や人生にスパイスを添える、他の人が思いつかないようなことを思いつく等、そういう風に生きてくると良いなと思ってます。あまり短期的な結果は求めていないです。あれが契機で自分の人生が変わったなあというのは、後から考えるものでその時は気づかないと思うんですよね。
② ベトナムのことを会社の中で1番知っている人間になれた
(大野さん)ただ、ハウス食品の開発研究所の中でベトナムのことを一番知っている人になってきてほしいと言ったことは叶えてくれたかなと思っており、とても嬉しく、誇らしく思っています。彼のような経験をした人が現地で企画に携わるということで、ハウス食品グループが今までにしてきた取組みに、全く違う文脈が加わることになり、ますます幅が広がると考えています。現地のコミュニティとも繋がりがある田島さんがベトナムに駐在するというのは非常に意義があることだと考えています。
この研修に短期的な結果は求めていないと言いましたが、こうやって思い返すと田島さんはたしかに行く前より成長していますね。改めてタイガーモブさんでのインターンシップを選んで良かったです。
③ インターン帰国1ヶ月後にベトナム赴任確定へ

(田島さん)ベトナムから帰ってきて、すぐのタイミングで、異動の辞令をもらいました。ベトナムでやってこられたという自信もありますし、友人もいるので、ベトナムへ行くということに対しての驚きや不安は無かったのですが、まさかこのタイミングで、という点では驚きました。一番驚いていたのは、現地の友人で、当分会うのも難しいねと言ったばかりなのに、こんなにすぐ戻ってくるとは・・。連絡する時もちょっと一呼吸置きましたね。インターン先と今の職場が近いので、彼らとは今でも仲良くさせて頂いています。
現在は製品の企画を担当しており、製品コンセプトの立案から製品開発・生産まで、一連の業務に携わっています。日本でやっていた頃と比べると間違いなく業務の幅は広がっています。
今後は、今までの経験を生かし、ベトナム発のアイデアでベトナムの新しい市場を作っていきたいと思います。