【高校生の探究テーマ100選】探究学習の事例と選び方ガイド

探究学習とは?なぜ高校生に必要なのか

探究学習とは、生徒が自ら問いを立て、調べ、考え、発表し、振り返ることで学びを深める教育手法です。従来の「知識を覚える学習」から一歩進み、社会や自分の未来と結びついた学びを目指します。

文部科学省の学習指導要領でも、主体的・対話的で深い学びが重視され、探究的な活動の導入が求められています。特に高校生は進路選択や自己理解の時期にあるため、探究学習を通じて「自分は何を学び、どんな社会課題に関わりたいか」を考えることが大切です。

探究テーマ選びのポイントまとめ

・文科省も学習指導要領で重視している
・探究学習=「問いを立て→調べ→考え→発表→振り返る」プロセス
・高校生に必要な理由=自己理解と進路選択に直結するため

目次

探究テーマはどう選べばいいのか?

生徒自身の関心から出発する

探究テーマを決める際に最も重要なのは、生徒自身の「関心」や「疑問」から出発することです。教師が与えるテーマだけでは主体性が育ちにくく、自分で問いを立てる過程こそが学びの核心になります。

社会や身近な課題とつなげる

テーマは抽象的すぎると探究が進みにくいため、社会の出来事や地域の課題と関連づけると取り組みやすくなります。たとえば「気候変動」「地域産業」「学校生活の改善」など、身近さと社会性を両立させることがポイントです。

継続して取り組めるテーマを選ぶ

探究学習は短期間で終わるものではありません。調査やインタビュー、実験やフィールドワークなど、継続して取り組めるテーマを選ぶことで、生徒が粘り強く探究を深められます。


探究テーマ選びのポイントまとめ

・継続的に取り組めるテーマを選ぶことが大切
・生徒の「興味・疑問」から出発する
・社会課題や地域とつなげると深まりやすい

探究テーマのカテゴリ一覧(100テーマ分類)

探究学習のテーマは無数にありますが、大きく分けるといくつかのカテゴリに整理できます。カテゴリごとに整理することで、生徒自身が興味関心に合った分野を見つけやすくなります。以下に代表的な分類とテーマ例を示します。

社会課題・SDGsに関するテーマ

地球規模の問題や地域社会の課題に触れることで、社会参加や公共性の意識を高めます。

・貧困と教育格差の解消
・気候変動と再生可能エネルギー
・海洋プラスチックごみの削減
・フードロス削減の取り組み
・ジェンダー平等と働き方改革

科学技術・未来社会に関するテーマ

最新技術や未来の社会像を考える探究は、生徒の好奇心を刺激します。

・AIと人間の共存は可能か
・宇宙開発の社会的意義
・ロボットが担う未来の仕事
・医療とバイオテクノロジーの進化
・デジタル社会における個人情報保護


地域資源・文化に関するテーマ

身近な地域を題材にすると、生徒は自分ごととして学びやすくなります。

  • 地元の伝統産業を未来につなぐ方法
  • 観光と地域活性化のバランス
  • 農業と食の持続可能性
  • 祭りや文化行事の意義
  • 地域交通のあり方と課題

国際理解・異文化交流に関するテーマ

異なる文化や国際関係を扱うテーマは、グローバルな視点を育みます。

  • 国際協力のあり方とは
  • 異文化理解を深める教育方法
  • 移民と多文化共生
  • 世界の食文化と交流
  • 平和学習と国際関係

自己探究・ライフデザインに関するテーマ

自分の生き方や将来を考えるテーマは、高校生にとって特に重要です。

  • 幸せとは何かを考える
  • 自分の強みと弱みを知る
  • 夢やキャリアデザインを描く
  • SNSとの付き合い方
  • 学校生活をよりよくするための提案

探究テーマ選びのポイントまとめ

・「社会課題」「科学技術」「地域資源」「国際理解」「自己探究」の5カテゴリに整理
・各カテゴリごとに具体例を提示することで、生徒がテーマを選びやすくなる
・どの分野からでも「問い」を立てられることが重要

社会課題・SDGsに関するテーマ(例20)

  1. 気候変動は止められるか?
     地球温暖化の影響を調べ、再生可能エネルギーなどの解決策を探る。

2. 海洋プラスチックごみ問題
 ごみの発生源や回収方法を学び、地域でできる取り組みを考える。

3. 森林破壊と生物多様性
 熱帯雨林の減少が生態系に与える影響と保全活動を調べる。

4. フードロスを減らす方法
 家庭・学校・企業での食品廃棄を減らす工夫を探究する。

5. 水不足と水資源管理
 世界の水問題を知り、日本での節水の工夫を考える。

6. ジェンダー平等の実現
 学校や地域における男女格差の実態を調べ、改善案を出す。

7. 働き方改革とワークライフバランス
 多様な働き方の現状を調べ、よりよい働き方を考える。

8. 子どもの貧困と教育格差
 学習機会の差を調査し、支援の仕組みを検討する。

9. 高齢化社会の課題と対策
 介護・医療・孤立などの問題を調べ、地域での解決策を考える。

10. 都市と地方の人口格差
 地方の過疎化や都市集中の影響を分析し、バランスある社会を模索する。

11. 移民・難民問題
 日本や世界の事例を調べ、多文化共生のあり方を考える。

12. 食料安全保障と輸入依存
 食料自給率の低さを調べ、持続可能な農業の方法を探る。

13. エネルギーの未来
 原子力・再生可能エネルギー・水素社会の可能性を比較する。

14. 災害大国日本の防災対策
 地震や豪雨への備えを調べ、学校や家庭でできることを考える。

15. 貧困と福祉制度
 生活保護や支援制度の役割を調べ、制度の改善点を考える。

16. インターネットと人権
 誹謗中傷やデジタルデバイドの問題を調べ、正しい利用方法を探る。

17. 教育のICT化と格差
 オンライン授業の現状を調べ、ICT教育の利点と課題を考える。

18. ごみの最終処分場問題
 廃棄物処理の仕組みを調べ、リサイクルの向上策を考える。

19. 都市交通と環境問題
 自動車依存社会の課題を調べ、公共交通の活用策を探る。

20. 持続可能な観光(サステナブルツーリズム)
 観光と環境保全の両立方法を調べ、地域活性化に活かす。

科学技術・未来社会に関するテーマ(例20)

  1. AIは人間の仕事を奪うのか?
     AI技術の進化と労働市場への影響を調べ、共存の可能性を探る。

2. ロボットと暮らす未来社会
 介護・医療・家庭でのロボット活用を調べ、課題と可能性を考える。

3. 宇宙開発の意義とは?
 宇宙探査や民間宇宙旅行が社会に与える影響を探究する。

4. スマートシティは実現可能か
 ICTを活用した都市計画の事例を調べ、持続可能な街づくりを考える。

5. 自動運転車と交通社会の変化
 自動運転技術の発展と安全性、法整備の課題を探る。

6. バイオテクノロジーの未来
 遺伝子編集や医療応用の可能性を調べ、倫理面も考察する。

7. 再生可能エネルギーの最前線
 太陽光・風力・水素エネルギーの技術革新を調べ、普及の課題を考える。

8. 5G・6Gと社会の変化
 高速通信が教育・医療・ビジネスに与える影響を調べる。

9. ドローンは社会をどう変えるか
 物流・災害救助・農業での活用事例を調べ、課題を考える。

10. メタバースと教育の可能性
 仮想空間での学習や交流のメリットとリスクを探る。

11. 量子コンピューターの可能性
 従来の計算機との違いや、社会実装の可能性を調べる。

12. 医療とAI診断
 AIによる画像診断や遠隔医療の現状と課題を探究する。

13. サイバーセキュリティと個人情報
 情報漏洩のリスクを調べ、安全なデジタル社会のあり方を考える。

14. 3Dプリンターが変える製造業
 医療・建築・教育分野での活用事例を調べ、社会的影響を考える。

15. スマホ依存と健康問題
 長時間利用の影響を調べ、バランスの取れた活用法を探る。

16. eスポーツはスポーツか?
 競技性や産業化の進展を調べ、教育的価値を探究する。

17. 農業とテクノロジーの融合
 スマート農業やドローン活用の事例を調べ、食料問題解決を考える。

18. 海洋資源の利用と未来
 深海探査や海底鉱物資源の活用を調べ、持続可能性を検討する。

19. 電動モビリティの普及
 電動自転車やEVが都市交通に与える影響を探究する。

20. テクノロジーと倫理の境界
 AIやバイオ技術の進歩が人間社会に与える倫理的課題を考える。

地域資源・文化に関する探究テーマ(20例)

  1. 地元の伝統工芸を未来につなぐには?
     後継者不足や需要減少の課題を調べ、持続的な発展方法を考える。

2. 観光と地域活性化の両立
 観光客増加が地域に与える影響を調べ、持続可能な観光を探る。

3. 地域農業と食の安全
 地産地消や有機農業の取り組みを調べ、地域と食の関係を考える。

4. 地域交通をどう守るか
 バス路線の廃止や高齢化社会での交通課題を調べ、解決策を探る。

5. 商店街の再生と地域経済
 シャッター街化の原因を調べ、若者や地域が関われる活性化策を考える。

6. 地域祭りの意義と継承
 伝統行事の役割を調べ、若い世代に引き継ぐ方法を探る。

7. 空き家問題の活用策
 人口減少で増える空き家をどう利活用できるか事例を調べる。

8. 地域防災とコミュニティの力
 災害時に地域住民がどのように支え合うかを調べ、仕組みを考える。

9. 地域医療の課題と解決
 地方の医師不足を調べ、ICTや地域協力での対応策を探る。

10. 方言と文化アイデンティティ
 地域ごとの方言の役割や衰退の背景を調べ、保存方法を考える。

11. 郷土料理の継承と進化
 地域ならではの食文化を調べ、現代的に発信する方法を考える。

12. 伝統建築の保存と活用
 古民家や歴史的建造物を保存しながら活用する事例を探る。

13. 地域の自然環境保全
 森林や河川など身近な自然を守る活動を調べ、その意義を考える。

14. 地域とスポーツの関わり
 地域クラブや学校部活動がまちづくりに与える影響を調べる。

15. 人口減少社会でのまちづくり
 地域活性化の取り組みを調べ、持続可能なまちの形を考える。

16. 観光と環境保護のバランス
 観光地での自然破壊や混雑問題を調べ、解決策を探る。

17. 地域企業のSDGs取り組み
 地元企業の環境活動を調べ、地域社会とのつながりを考える。

18. 伝統芸能と若者文化
 歌舞伎や能など伝統芸能の魅力を調べ、若い世代に広める方法を探る。

19. 移住・定住促進策の効果
 地方自治体の移住促進策を調べ、その効果や課題を分析する。

20. 地域と教育の連携
 地域の人材や施設を活用した教育の取り組みを調べ、発展方法を考える。

国際理解・異文化交流に関するテーマ(例20)

  1. 国際協力の役割とは?
     国際機関やNGOの活動を調べ、支援のあり方を考える。

2. 異文化理解を深める方法
 文化や宗教の違いを尊重し合うための教育や交流を探究する。

3. 移民と多文化共生
 移民受け入れ国の事例を調べ、日本社会での共生を考える。

4. 世界の食文化と交流
 料理を通じた国際交流の可能性や、文化的背景を調べる。

5. 難民問題の解決策を探る
 世界の難民の現状を調べ、支援や受け入れのあり方を考える。

6. 国際スポーツ大会の意義
 オリンピックやW杯が国際関係に与える影響を調べる。

7. 観光と異文化交流
 観光を通じた文化理解と、摩擦を減らす工夫を探る。

8. 世界遺産の保護と観光
 ユネスコの役割を調べ、観光と保護のバランスを考える。

9. グローバル教育の必要性
 学校教育に国際理解を取り入れる方法を調べる。

10. 開発途上国の教育支援
 国際協力による教育プロジェクトの事例を調べる。

11. ボランティアと国際交流
 海外ボランティア活動を調べ、異文化理解への効果を探る。

12. 世界の紛争と平和構築
 紛争地域の事例を調べ、平和を築くための方策を考える。

13. 外国人労働者と日本社会
 外国人労働者の増加が日本社会に与える影響を探る。

14. 言語とアイデンティティ
 母語と第二言語の関係を調べ、言語が文化に与える影響を考える。

15. 国際結婚と家族の多様性
 異文化間の結婚を通じて、多様な家族のあり方を考える。

16. SNSと国際交流
 SNSを通じた国際的なつながりのメリットと課題を調べる。

17. 外国人観光客と地域社会
 訪日観光客の増加が地域社会に与える影響を調べる。

18. グローバル経済と貿易摩擦
 自由貿易と保護主義の動きを調べ、国際経済の課題を探る。

19. 国際的な環境問題の解決
 気候変動や森林破壊など、国際的協力で解決すべき課題を探究する。

20. 世界の教育制度を比較する
 フィンランドやシンガポールなどの教育制度を調べ、日本との違いを考える。

自己探究・ライフデザインに関する探究テーマ(20例)

  1. 幸せとは何かを考える
     幸福度調査や心理学の視点から、自分にとっての幸せを探る。

2. 自分の強みと弱みを知る
 自己分析ツールや周囲からのフィードバックをもとに考える。

3. 夢やキャリアデザインを描く
 将来の進路や職業観を整理し、実現のステップを考える。

4. 学校生活をより良くするには?
 校則・部活動・授業環境を調べ、改善策を提案する。

5. リーダーシップとは何か
 身近なリーダー像を調べ、必要な資質を考える。

6. 時間の使い方と生産性
 1日の過ごし方を分析し、効率的な学習・生活法を探る。

7. SNSとの付き合い方
 長時間利用のメリット・デメリットを調べ、健全な使い方を考える。

8. メンタルヘルスと自己管理
 ストレスや不安への対処法を探究し、セルフケアを学ぶ。

9. 友人関係とコミュニケーション
 良好な人間関係を築くためのスキルを調べる。

10. 読書が人生に与える影響
 愛読書や名著を通じて思考力や感受性の育成を考える。

11. お金の使い方とライフプラン
 家計管理や投資教育を調べ、経済的自立を考える。

12. 健康的な生活習慣をつくる
 運動・睡眠・食事習慣を調べ、自分に合った改善策を考える。

13. ボランティア活動の価値
 地域や学校での活動経験を調べ、社会参加の意義を考える。

14. 進路選択と自己理解
 文系・理系の選択や大学進学を視野に入れ、自分に合う道を探る。

15. 働くことの意味を考える
 社会人へのインタビューを通じて、仕事と人生の関わりを探究する。

16. 趣味と学びのつながり
 音楽・スポーツ・ゲームなどの趣味から学べることを考える。

17. 社会に出る前に必要なスキル
 プレゼン力や文章力など、学校外でも役立つスキルを調べる。

18. 自己表現と創造性
 アートやデザイン活動を通じて、自分を表現する方法を探る。

19. 多様性と自己アイデンティティ
 性格や背景の違いを尊重しながら、自分の在り方を考える。

20. 人生100年時代の生き方
 長寿社会を見据え、どのようなキャリアやライフスタイルを描くか考える。

よくある質問(FAQ)

Q1. 探究学習のテーマはどうやって決めればいいですか?

A. 生徒の「関心や疑問」から出発するのが基本です。そこに社会的な課題や地域資源を組み合わせると、より深い学びにつながります。

Q2. 人気のある探究テーマにはどんなものがありますか?

A. SDGs関連(環境・貧困・ジェンダー)、科学技術(AI・宇宙・医療)、地域課題(伝統産業・防災)、国際理解(難民・異文化交流)などが多く選ばれています。

Q3. テーマが大きすぎると探究が進まないのでは?

A. はい。大きなテーマは「小さな問い」に分解することが重要です。例えば「気候変動」なら「自分の地域でできる節電対策」から始めると取り組みやすくなります。

Q4. 探究テーマは1年間同じもので続けるべきですか?

A. 学校の方針や学年によって異なります。1年間かけて一つを深める場合もあれば、短期間で複数のテーマを体験する方法もあります。

Q5. テーマ設定で失敗しないためのコツは?

A. 「自分ごと化できるテーマ」を選ぶことです。遠すぎる社会問題よりも、学校生活や地域課題と結びついたテーマの方が探究を継続しやすくなります。

まとめ|高校生の探究テーマを学びに活かすために

探究学習は、知識を覚えるだけでなく「問いを立て、自ら考え、社会とつながる力」を育む重要な教育活動です。本記事では、社会課題・科学技術・地域資源・国際理解・自己探究といった5つのカテゴリに分けて、合計100のテーマを紹介しました。

大切なのは「テーマを決めること」そのものではなく、生徒が関心を持ち、自分ごととして学びを深められるようにデザインすることです。小さな問いから始めても、調べ、考え、仲間と対話するプロセスを通じて、学びは確実に広がっていきます。

私たちは今回ご紹介したテーマのほかに、具体的な探究テーマの実践事例をまとめた 「探究学習の面白いテーマ50選」 をご用意しています。
探究学習を修学旅行や校外研修にどう組み込むかを検討されている先生方にとって、すぐに活用できる内容です。

ぜひ以下より資料をダウンロードいただき、貴校の探究学習の取り組みにお役立てください。

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この記事を書いた人

全国の中学・高校に越境探究プログラム『VISIONs』を提供。
導入実績107校以上、参加生徒5,000人、全世界47カ国を舞台に探究学習プログラムを企画・運営。学校オリジナルの探究学習に興味がある方はお問合せください。

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