【探究×実践】中高生に最適な探究テーマ100選|授業で使える事例をカテゴリ別に紹介

「探究ってどう進めればよいか分からない」「テーマが毎年ワンパターンになる」——そんな悩みを持つ教員の方へ。この記事では、文部科学省の方針に基づいた探究学習の基本と、授業ですぐに使える探究テーマ100例をカテゴリ別に紹介します。
探究学習とは?何を目指す学びなのか
探究学習は、知識の習得だけでなく「自ら課題を発見し、答えを見出す力」を育むことを目的としています。2022年度からは「総合的な探究の時間」が高校で必修化され、教育現場での重要性が急速に高まっています。
文部科学省が示す探究の意義
キャリア形成への接続:学びの成果が進路選択や総合型選抜にも活かされる。
社会とつながる学び:現実の課題を起点に、教科横断的な視点で考える力を育成。
深い思考と主体性:自分で問いを立て、仮説・検証・発表を繰り返すPBL型学習。
【Q&A】中高生におすすめの探究テーマは?
「どんなテーマを選べばよいのか分からない」「生徒の関心と学びを両立させたい」——そんな先生方の悩みに応えるために、探究テーマの選定ポイントとカテゴリ別の事例を解説します。
探究テーマはどう選ぶべきか?
探究学習の成功は、テーマ設定で8割決まるといわれます。生徒の興味関心に寄り添いつつ、社会的な意味や学びの深さを兼ね備えるテーマが理想です。
【探究テーマ選定の5つのポイント】
① 生徒の関心から出発する
例:「YouTubeは学習に有効か?」「なぜ制服は必要なのか?」
②社会と接続している
例:「地域に外国人観光客を呼び込むには?」「海洋プラスチック問題を解決するには?」
③調べて終わらないテーマにする
例:「AIは仕事を奪うのか?」「ジェンダーと制服の関係性とは?」
④比較・対照ができる構造を持つ
例:「日本と海外の教育制度を比較する」「スマホの使い方による集中力の差」
⑤成果発表がしやすい
ポスター・プレゼン・映像制作など多様なアウトプットが可能なテーマを選ぶ。
【カテゴリ別】探究テーマ100例|中高生の関心・学年に応じて使えるアイデア集
生徒の興味に沿い、社会とつながる探究テーマを設定するには、「カテゴリ別」に整理するのが有効です。ここでは、教育現場でよく使われる5つの領域に沿って、中学生・高校生向けにそれぞれ使えるテーマ例を紹介します。
<分類カテゴリ>
- 社会課題(SDGs、人権、福祉など)
- 科学技術(AI、宇宙、エネルギーなど)
- 地域資源(観光、特産、伝統産業など)
- 国際理解(異文化、言語、国際協力など)
- ライフデザイン(進路、仕事、生活、ジェンダーなど)
1.社会課題に関する探究テーマ|中学生・高校生向けSDGs・人権課題
社会課題系のテーマは、SDGsや地域課題と関連づけることで、生徒の主体的な学びと社会的意義を両立しやすくなります。人権、環境、福祉など、身近かつ深掘りできるテーマを設定しましょう。
中学生向け探究テーマ例
- ゴミは本当に分別されている?学校のゴミ箱から調べてみた
- いじめ防止のために自分たちができることは?
- 学校給食で食品ロスはどれくらいある?
- ユニバーサルデザインってどんな場所にある?
- 身の回りにある“格差”ってなんだろう?
- 地域のバリアフリーを検証してみよう
- ペットボトルはリサイクルされているのか?
- 水道水とミネラルウォーター、どちらが環境にやさしい?
- 学校で使われる電力を再エネにできる?
- 図書館をもっと多様な人が使えるようにするには?
高校生向け探究テーマ例
- 貧困と教育の関係を日本と海外で比較する
- フェアトレードはなぜ広がらない?高校生ができること
- ジェンダー平等は制服から変えられるか?
- 「見えない差別」はなぜ生まれる?
- 障害者雇用の現状と改善のためにできる提案
- 選挙権を持つ高校生として、政治参加をどう捉える?
- 再生可能エネルギーは地域で普及できるのか?
- 外国人住民と地域社会の関係を考える
- SNS上の誹謗中傷はなぜなくならない?その防止策を探る
- ファストファッションと環境問題のつながりを考える
2.科学技術に関する探究テーマ|中学生・高校生向けAI・環境・先端技術
AI、再生可能エネルギー、医療技術、宇宙開発など、科学技術系のテーマは未来社会と結びつけやすく、探究活動の幅を広げます。論理的思考力の育成や、STEAM教育との連動も可能です。
中学生向け探究テーマ例
- AIって本当に人間の仕事を奪うの?
- ロボットはどこまで人の代わりになる?
- ドローンは災害時にどう役立てられるか?
- 電気自動車とガソリン車、どちらが環境にやさしい?
- 宇宙には人が住めるのか?—火星移住の可能性を考える
- 水素エネルギーって何?未来の車はどう変わる?
- メディアに出てくる科学ニュースは正しいのか?
- 身近な科学の「なぜ?」を解明する自由研究
- 学校の消費電力を可視化してみよう
- スマホの使いすぎは脳に影響を与えるのか?
高校生向け探究テーマ例
- ディープフェイクは社会にどんな影響を与える?
- 再生医療の技術はどこまで進んでいるか?
- 宇宙ゴミ(スペースデブリ)問題にどう向き合うか?
- スマート農業で食糧問題は解決するのか?
- AIが判断する「倫理」の限界とは?
- 量子コンピュータが実用化されたら何が変わる?
- メタバースと教育の未来を考える
- クローン技術における倫理的課題とは?
- 遺伝子編集は病気をなくす手段になり得るか?
- 科学技術は平和と安全保障にどう関係するか?
3.地域資源に関する探究テーマ|中学生・高校生向け観光・特産・伝統文化
探究学習における「地域資源」は、生徒が身近な課題に当事者として関わる入り口となります。観光・産業・伝統文化など、地域との協働を通じて学びの社会的意義を体感できる分野です。
中学生向け探究テーマ例
- 地元の名産品を使って新しい商品を考えてみよう
- 観光客がもっと来るには、何が必要だろう?
- 地域の神社や祭りの意味を調べてみよう
- 地元の郷土料理を中学生の視点で紹介しよう
- 商店街を活性化させるためにできることは?
- 空き家をどう活用すればよい?—まちの未来を考える
- 「昔の遊び」と「今の遊び」を地域の人と比較してみよう
- 自分の町の“自慢”を外国人に伝えるには?
- 通学路の危険箇所を調査し、安全マップを作ろう
- 地域の伝統工芸を未来にどうつなぐ?
高校生向け探究テーマ例
- 観光と地域経済の関係をデータで分析してみよう
- 地域ブランディングに高校生ができることとは?
- 高校生が考える新しい“ご当地グルメ”の提案
- 空き家×若者—地域活性化の可能性を探る
- 地元企業と連携した商品開発に挑戦してみよう
- 地域の伝統行事を若者世代にどう伝えるか?
- 商業施設の再生と持続可能なまちづくりを考える
- 観光地のSNS発信に効果はあるのか?
- 地方移住促進と教育の関係性を探る
- 地域防災の仕組みを調べ、課題と対策を提案する
4.国際理解に関する探究テーマ|中学生・高校生向け異文化・言語・国際協力
異文化理解や国際社会の課題は、グローバル時代に生きる生徒にとって欠かせない探究テーマです。語学・文化・国際問題への関心を育みつつ、広い視野を持つ学習につながります。
中学生向け探究テーマ例
- 世界の学校生活と日本の違いを比べてみよう
- 世界のあいさつを調べて、文化の違いを感じてみよう
- 「ハラール」や「ベジタリアン」ってどんな食文化?
- 外国語が通じないとき、どうやって伝える?
- 世界の祝日・行事とその意味を調べてみよう
- オリンピックで多文化共生は実現できたか?
- 海外の小学生と手紙交換して分かったこと
- 「国際化」とは何か?—地域にいる外国人と話してみた
- 日本語はどんな特徴がある?他言語と比較してみよう
- 旅行先の国で「していいこと・ダメなこと」って?
高校生向け探究テーマ例
- なぜ英語教育は進んでいるのに話せる人が少ないのか?
- 日本と海外の教育制度を比較し、課題を考える
- 外国人労働者と日本社会の関係を探る
- 国際協力とボランティアの限界と可能性
- グローバル人材とは?—企業が求めるスキルを調べてみた
- SDGsの視点から国際問題を読み解く
- 国際ニュースの伝え方とバイアスについて考える
- 日本のアニメは“文化輸出”になっているのか?
- 文化摩擦をなくすには?異文化トラブル事例から学ぶ
- 多言語化と多文化共生—身の回りにある工夫を探す
5.ライフデザインに関する探究テーマ|中学生・高校生向け進路・仕事・暮らし・ジェンダー
進路選択、働き方、生き方、家庭観、ジェンダーなど、生徒自身の“これから”を考える探究テーマは、自己理解と社会理解を深める学びにつながります。個人の価値観を形成する大切なテーマ群です。連動も可能です。
中学生向け探究テーマ例
- 将来の夢を実現するには何が必要?
- 「働く」とはどういうことか、家族にインタビューしてみよう
- 生活費はいくらかかる?シミュレーションしてみた
- 仕事の種類はどれくらいある?—知らない職業を調べてみよう
- 大人ってどんな一日を過ごしている?
- 家事と仕事、両立できるのはなぜ大変?
- 結婚って当たり前?—ライフスタイルの多様性を考える
- お金の使い方、貯金と浪費の違いとは?
- 自分に合った勉強法は?—クラスメートと比べてみた
- 学校にない「教えてほしい授業」は何?
高校生向け探究テーマ例
- 働き方改革は現場でどう進んでいるか?
- なぜジェンダーギャップ指数で日本は順位が低いのか?
- 年収と幸福度の関係は本当にある?
- 「仕事と人生」どちらを重視すべきか?—社会人の声を集めてみた
- リモートワークはこれからのスタンダードになり得るか?
- 副業・フリーランス・会社員—自分に合う働き方は?
- キャリア教育は早すぎる?高校生の意識を調査してみた
- 男女の制服を自由に選べたら何が変わる?
- ライフプランとマネープランを設計してみよう
- 20年後、今の「当たり前」はどう変わっている?
【FAQ】探究テーマに関するよくある質問
探究学習の指導に取り組む際に、教員からよく寄せられる質問とそのヒントをまとめました。
Q. 探究テーマはどう決めればよい?
・生徒の興味・関心を起点にすることが第一です。
・そこに社会性・持続性・学びの深まりが加わるテーマが理想です。
・初期段階では「調べやすい」「話しやすい」テーマでも構いません。
Q. 人気のある探究テーマは?
・SDGs、ジェンダー、AI、地域活性化などが多く選ばれます。
・ただし「人気テーマ」より「本人にとって意味のあるテーマ」が重要です。
Q. 中学生と高校生では指導に違いがある?
・中学生:身近な問いを中心に、思考の型や表現の練習を重視。
・高校生:社会的な意義や構造の分析、調査・提案型の活動を重視。
Q. 探究活動の失敗しない進め方は?
・まずは「問いを立てる→調べる→整理する→伝える」のプロセスを丁寧に指導。
・正解のない問いを扱うため、評価軸やフィードバックも明確にする必要があります。
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